LINSOUL Kiwi Ears Cadenza Ⅱレビュー|素材と音響設計にこだわったコスパの高い有線イヤホン
安価なイヤホンでも、音楽を聴くという基本的な役割は十分に果たせます。それでは、価格が上がると何が変わるのでしょうか。
今回レビューする「Kiwi Ears CadenzaⅡ」は、10mmのチタンコーティングPET振動板や、低音を調整する独自技術「KARS 2.0」を採用した有線イヤホンです。さらに、CNC加工されたアルミ製フェイスプレート、ポリカーボネート複合素材のハウジング、交換可能な単結晶無酸素銅ケーブルなど、音を出す部分だけでなく外観や使い続けやすさにもコストがかけられています。
素材名を聞くだけでも眠くなってきた・・・と感じる方もいるでしょう。
この記事では、CadenzaⅡの素材や構造を初心者にも分かりやすく解説しながら、実際の装着感や音質、Type-Cモデルの使いやすさをレビューします。一般的な安価なイヤホンとの違いを交えながら眠たくならないように紹介していきます。ぜひCadenzaⅡの魅力・構造を見ていって下さい。


Kiwi Ears Cadenza Ⅱの特徴とスペック

Cadenza Ⅱは、10mmのダイナミックドライバー1基で低音から高音までを再生するインイヤーモニター(IEM)です。
大きな特徴は、PET素材にチタンをコーティングした振動板と、イヤホン内部の空気の流れを利用して低音を調整するKARS 2.0です。メーカーは、深い低音を出しながら中音域への広がりを抑え、自然な音のバランスを目指したモデルと説明しています。注目パーツには以下のような役割があります。
ドライバーは、イヤホンの音を作り出す中心的なパーツです。Cadenza IIには、10mmのダイナミックドライバーが1基搭載され、低音から高音までを再生します。
ダイナミックドライバーは、イヤホン内部の振動板を前後に動かして空気を振動させる仕組みです。特に、力強く自然な低音を表現しやすいことが特徴です。
振動板は、ドライバーの内部で実際に振動して音を作る薄い膜です。Cadenza IIでは、軽くしなやかなPET素材の表面にチタンをコーティングしています。
PETの動きやすさにチタンの硬さを加えることで、振動板の余計な変形や揺れを抑える設計です。これにより、ドラムが鳴った瞬間の輪郭や、楽器の細かな音を表現しやすくなることが期待できます。
KARS 2.0は、イヤホン内部に設けられた迷路状のチューブで、空気の流れを調整する仕組みです。
深い低音をしっかり出しながら、低音がボーカルなどの中音域まで広がりすぎないように整えます。簡単にいうと、低音の迫力を残しつつ、音のぼやけを抑えるための音響技術です。
各パーツは以下の構造のように配置されています。実機はバラせないので多少異なると思いますがイメージとして見て下さい。

| 項目 | CadenzaⅡの仕様 |
|---|---|
| ドライバー | 10mmダイナミックドライバー |
| 振動板 | チタンコーティングPET |
| 音響システム | KARS 2.0 |
| インピーダンス | 18Ω(±1Ω) |
| 感度 | 106dB(±1dB)@1kHz |
| 再生周波数帯域 | 10Hz~29kHz |
| 定格入力 | 5mW |
| 最大入力 | 10mW |
| THD | 1%未満(1kHz) |
| ケーブル端子 | 0.78mm 2Pin |
| ケーブル | 1.2m・単結晶無酸素銅 |
| 接続方法 | 3.5mm/Type-Cマイク付き |
| カラー | グレー/ブルー |
付属品
付属品は、Cadenza II本体、1.2mの着脱式ケーブル、S・M・Lサイズのイヤーピース各2組、説明書です。
イヤーピースは開口部が大と小で合計6ペアあるため、耳の大きさや好みの密閉感に合わせて選択できます。
外観・装着感|金属と樹脂を組み合わせた筐体

Cadenza IIは、耳に触れるハウジングにポリカーボネート複合素材、外側のフェイスプレートにCNC加工されたアルミニウムを使用しています。
ポリカーボネートは耐衝撃性に優れた樹脂素材です。樹脂とアルミを組み合わせ、強度や質感と装着時の軽さの両立をした構成です。
フェイスプレート(表面)には航空宇宙グレードのアルミを使用しており、表面には細かな幾何学模様がレーザー加工されています。(アルミの詳細な合金番号はみつけられませんでした。)
実物を手に取ると、フェイスプレートは金属らしいマットな質感で、レーザー彫刻の幾何学模様は細部まできれいに加工されていました。耳に触れるハウジング部分も含めマットな表面処理になっており指紋や傷については目立ちにくくなっています。

開口部の小さいSサイズを使用して装着感を試してみました。ハウジングは耳にやや大きく感じる形状。しかし1時間連続使用しましたが特にストレスを感じることはありませんでした。遮音性は標準的な印象で、屋外では周囲の音は聞き取りづらいので歩行中には注意が必要です。

イヤーピース選びの基準は、耳穴のフィット感でサイズを選びますが、開口部の大小選びは好みの音質を選んで決めてください。一般的には開口部が大きいイヤーピース(写真左側)は音の通り道が広く、高音の明るさや細かな音を感じやすい傾向があります。音の抜けがよく、ボーカルや楽器の輪郭をはっきりさせたい場合に向いています。
一方、開口部が小さいイヤーピース(写真右側)は高音がやや穏やかになり、低音の量感や温かみを感じやすくなる傾向があります。高音の鋭さが気になる場合や、落ち着いた音で聴きたい場合に試しやすいタイプです。
CadenzaⅡには2種類、3サイズの6種類のイヤーピースが入っているので、ぜひサイズ・音質ともに適したサイズを探してください。
安価なイヤホンとの違い|何にコストがかけられている?
数百円から1,000円程度のイヤホンでも、動画や音楽は楽しめます。価格差を考えるうえでは「高い方が良い」と判断せず、どの部分へコストがかけられているかを見ることが大切です。
安価なイヤホンでは、一般的な樹脂系振動板、樹脂成形の筐体、固定式のケーブルなどが採用される場合が多くあります。一方、CadenzaⅡでは、振動板、内部の音響構造、筐体の加工、ケーブルの導体や交換性まで、それぞれに目的を持たせコンセプトを表現するための構成になっています。CADENZAⅡは緻密に調整されたサブベース、豊かなミッドレンジ、そして滑らかな高音域により、自然で没入感のあるリスニング体験を謳っておりそのための構成が組まれています。
| 比較する部分 | 安価なイヤホンに見られる構成例 | Cadenza II |
|---|---|---|
| 振動板 | 一般的な樹脂系素材 | チタンコーティングPET |
| 低音の調整 | 通気孔などによる基本的な調整 | KARS 2.0 |
| 筐体 | 樹脂成形 | ポリカーボネート複合素材+アルミ |
| 表面加工 | 印刷や塗装 | CNC加工+レーザー彫刻 |
| ケーブル | 固定式の場合がある | 0.78mm 2Pin着脱式 |
| 導体 | 一般的な銅線 | 単結晶無酸素銅 |
交換できる単結晶無酸素銅ケーブル

付属ケーブルには、一般的な銅線より結晶の境界や不純物を抑えた単結晶無酸素銅が使用されています。メーカーは、信号を明瞭かつノイズを抑えて伝えるための構成と説明しています。
ケーブルはスパイラルケーブル。エナメルのような素材で少し太めになっています。素材自体は柔らかく取り回しやすく、巻き癖も付きにくくなっています。サラサラではないので少し摩擦がある素材です。
0.78mm 2Pinの着脱式なので、断線した場合にケーブルだけを交換できることも安価な固定式イヤホンにはない利点です。対応ケーブルを選べば、3.5mmとType-Cの接続方法を後から変更できる可能性もあります。持ち出し時にはUSB-Cで簡単接続、書斎では3.5mmケーブル接続として利用することも可能です。
音質|色々な音楽に使えるスタンダードなイヤホン

メーカーはCadenzaⅡについて、深いサブベース、温かさを加えた中音域、滑らかに伸びる高音域を特徴として説明しています。私自身はイヤホンに関してはライトユーザーなので、普通の人が聞いた感想として参考にしてもらえると嬉しいです。
低音
低音は量感があり、深い部分まで自然に伸びるサウンドです。KARS 2.0が狙う低音の制御については、キックドラムは適度な弾力がある印象、ベースラインは厚み・奥行き感のある印象に聞こえました。
低音の迫力だけでなく、鳴った後の収まりは自然な印象です。ボーカルとの重なりは少なく声を聞き取りやすいと感じました。
中音・ボーカル
中音域では、ボーカルが近い位置から聞こえます。
声に適度な温かさを持たせるというメーカーの説明のとおり、温かみがあり聴きやすく感じました。
楽器が増える場面でも、ボーカルは埋もれにくくしっかりと聞こえる印象です。
高音・解像感
高音域は明るさを感じる印象であり、シンバルや弦楽器の細かな音は分離して聞き取れる印象でした。音量を上げたときの刺さりはほとんど感じませんでした。
解像度については、ボーカル、ギター、ベース、ドラムやシンバルなど、音数が増えた場面でも一つひとつを聞き分けることができ価格以上の音質だと感じました。
音場・定位と相性のよいジャンル
音の広がりは標準的です。左右の位置関係は把握しやすく、動画やゲームではセリフが明瞭で、効果音や足音も立体的に聴き取ることができました。
楽曲との相性は、ポップス・アコースティックで特に良いと感じました。癖の少ないチューニングになっているので他のジャンルでも幅広く使えると思います。
Type-Cモデル|スマートフォンへ直接接続できる

Cadenza IIには、3.5mmモデルとType-C・マイク付きモデルがあります。Type-Cモデルは変換アダプターなしで、スマートフォンやタブレット、PCへ直接接続できることがメリットです。
Bluetoothの設定や充電は不要で、遅延やバッテリー切れも気にせず使用できます。一方、接続中はUSB-C端子が埋まるため、一般的なスマートフォンでは同時に充電できません。
Cadenza IIは18Ω・106dBで、公称値上は小さな出力でも音量を確保しやすい構成です。スマホでも使いやすい仕様になっていると思います。ただし、「鳴らしやすい」とは主に必要な音量を得やすいという意味であり、音質の優劣には影響はありません。

iPhone17PROへ接続したところ、音量は十分に確保できました。動画視聴時の音ズレは感じません。リモコンでは再生・停止/音量調整が可能、マイクで録音した音声は電話やWEB会議などでは十分な音質と感じました。
Kiwi Ears Cadenza IIの良かったところ・気になったところ

実際に使用してみて、癖が少なく幅広く使えるイヤホンだと感じました。
チタンコーティングPET振動板、KARS 2.0を採用した10mmドライバーでボーカルの暖かみと豊かさを感じる音質、音楽以外にゲームでも使える汎用性の高さ、デザインもシンプルで使う場所も選びません。
気になった点はケーブルがエナメルのような光沢ケーブルを編み込んでいるため、絡まることはないのですが引っかかりやすく感じました。また本体は少し大きめのため見た目に存在感があります。
Kiwi Ears Cadenza IIはこんな人におすすめ
Cadenza IIは、次のような人におすすめです。
- 安価なイヤホンから一段上の有線イヤホンへ移行したい
- 素材や内部構造にもこだわって選びたい
- 深い低音とボーカルの聴きやすさを両立したい
- 刺激が強すぎず、長時間聴きやすい音を求めている
反対に、完全ワイヤレスの身軽さ、ノイズキャンセリング、外音取り込みを重視する人には向いていません。
まとめ|素材と音響設計から価格差を理解できるイヤホン

Kiwi Ears Cadenza IIは、10mmのチタンコーティングPET振動板とKARS 2.0を搭載した本格的な音質を楽しめる、かつ多くのジャンルの音楽も聴きやすい汎用性の高い性能を持った有線イヤホンです。またCNC加工されたアルミ製フェイスプレート、ポリカーボネート複合素材のハウジング、単結晶無酸素銅の着脱式ケーブル、USB -C接続タイプも選択可能で外観や使いやすさにも配慮されています。
安価なイヤホンでも音楽は楽しめますが、Cadenza IIは振動板の反応、低音の制御、筐体の加工精度、ケーブル交換への対応など、細かな部分までを作り込まれているイヤホンです。もちろんその分価格もしますが、十分に価格以上の品質であると感じることができました。
初めて本格的なインイヤーモニターを購入する人や、スマートフォンで手軽に有線イヤホンの音を楽しみたい人にとって、CadenzaⅡは素材と音響設計に価格差を見いだしやすい1台です。


